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更新日: 2026/06/08
碇ともみさん
大手航空会社に23年間勤務した後、大学教員として、経営学をはじめ、若年者キャリア形成教育、ビジネス実務教育、ホスピタリティマネジメントなどにも研究をすすめる。キャリアコンサルタントとしての相談業務や執筆活動にも注力。キャリアコンサルタント養成講座 、更新技能講習の講師も担当している。
▼前編
セカンドキャリアに人気?「キャリアコンサルタント」という仕事
▼後編
キャリアコンサルタントの資格は役に立たないって本当?
人が自己理解と仕事理解を深めて、自分の豊かなキャリア形成を築くための支援をする仕事です。活躍の場は大きく3つに分かれており、企業の中、学校の中、そしてハローワークなどの需給調整機関での仕事があります。
2025年10月時点で、国内の登録者数は8万5000人ほど。国が「10万人のキャリアコンサルタントを養成しよう」という推進のもとで増えてきた資格です。
近年、40代・50代の中高年がセカンドキャリアとしてキャリアコンサルタントを目指すケースが増えています。
「このまま会社を続けてもいいのかな、もっと自分ができることがあるんじゃないか、と悩む方が結構いらっしゃいます。役職定年や定年後の節目として、自分の経験をもとに資格を取りたいという方も多いです」
碇さんにとって、忘れられない学生がいます。
初回の面談で、何も話さずにずっと泣き続けた女子学生。碇さんは何も言わずにただ待ち続け、時間になったら帰ってもらう。それが毎週続きました。
卒業式の日、その学生が内定の報告を持って部屋を訪ねてきました。「負けず嫌いで弱みを見せたくない性格だから、親にも友達にも本音を言えない。でもここに来るとなぜか泣けるんです。私のここがデトックスです」という言葉を残して。
「キャリアコンサルタントってしゃべりのコミュニケーションの中でやっていくものだと思っていたけれど、その場を作れた自分にすごくやりがいを感じました」と碇さんは振り返ります。
向いていないのは、自分の経験や価値観を相手に当てはめてしまう人だと言います。「私の幸せは相談者の幸せではない。私の成功体験が相談者の成功する方策ではないということをキャリコンでは学びました」
逆に向いているのは、人の話をゆっくり聞ける人。「その人の世界に入り込んで、その人の思いを汲んであげることが大切」と碇さんは言います。特に中高年の方は社会人経験が豊富な分、解決策をすぐに提案してしまいがち。それがキャリアコンサルティングでは壁になりやすいといいます。
ネット上では「キャリアコンサルタントは役に立たない」という声も見られます。これについて碇さんははっきりと答えます。
「役に立たないのではなくて、役に立たせていないというふうに私は解釈しています。キャリアコンサルタントの勉強で学ぶ傾聴や人の内面を引き出す力は、どんな職業にも乗せていける。使い方次第だと思います」
お金の面では、キャリアコンサルタントだけで生計を立てている方は企業や学校などに所属しているケースが多く、フリーランスの方はほかの仕事と組み合わせながら活動しているといいます。人事部や士業とのダブルライセンスで活かしている方も多いようです。
碇さんがこの仕事を続けてきて、常々感じていることがあります。
「相談者の方は私に会いに来るんじゃない。自分に会いに来るんだと思います」
キャリアコンサルタントの勉強は理論や技法だけでなく、労働市場や労働法、経営学まで幅広い。それが「世の中のことがよくわかってくる」学びにつながると言います。そして何より、傾聴の「聴」という字が耳・目・心で成り立つように、心を傾けて人の話を聞くことの難しさと大切さを、この仕事を通じて学べると碇さんは語ります。
10年後もこの仕事は「消えない」と碇さんは言い切ります。人が人の話を聞くという行為は、AIにはまだ補完できない。これからはそれぞれの専門性を生かしたニッチなキャリアコンサルタントが増え、さらに進化していくのではないかと展望を語ってくれました。
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